♪音楽の評価についての研究結果
サクラ曲投稿掲示板に登録されているみなさん、 研究にご協力いただきましてどうもありがとうございました! 研究の結果についてご報告いたします。
九州大学教育学部社会心理学第一研究室
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1.研究のきっかけみなさんはいつも、余暇をどのように過ごされていますか? 日本人は欧米の人々と比べると、余暇を仕事とは離れた「趣味」(たとえば書道や絵など)に使う人が多いそうです。(曲掲示板に登録されている方は、余暇を作曲や音楽鑑賞にあてていらっしゃることが多いと思います。) 表現・創作活動といった趣味を共有する場所として、サークルや投稿サイトなどがありますが、ここに集まる人々は、作ることに関しても評価を行うことに関しても、技術や経験がばらばらです。 また、評価を行うとき(特に批判するとき)に相手がどのように受け取るかが気にかかってうまく書けなかったり、好意でアドバイスしたのに問題が生じてしまったりと、なかなか評価をすることは難しいものです。 しかし作品に対して適切な評価が行われれば、個々人のレベルアップはもちろん、集団全体の活性化にもつながります。 そこで、表現活動に対して行われている評価・感想にはどのようなものがあるのかという現状を調べた上で、それらの評価・感想というのは一体どのように受け取られているのかについて調べてみることにしました。
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2.どんな感想が多いのか![](kanso-kenkyu.files/clip_image1.gif) 現時点でどのような感想が多いのかということをまず調べてみました。 今回の調査では、曲そのものに対する評価の仕方を見ていくために、 以下の5つの感想タイプを作成しました。
■1.どこがよかったかには触れていない、ただほめるのみの感想 ■2.具体的に曲のどこが良かったかをほめている感想 ■3.曲についての批判・アドバイスを行っている感想 ■4.曲を聴いて思い浮かんだイメージについて書いている感想 ■5.曲に対しての感想ではない、その他の感想(挨拶や作者への応援など)
現在書かれている感想から235曲を抜き出して、 この5つのタイプに分類した結果が左の円グラフです。 「具体的ほめ」の感想と、「イメージ」の感想が多くなっています。 それから、「批判」を行っている感想は少なくなっています。 ネガティブな感想をポジティブな感想がはるかに上回っていることから、 評価を受け取る相手の心情に配慮した感想を、 みなさん数多く書かれているのではないかと思われます。
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3.もらった感想をどう感じているのかここから先が、みなさんに答えていただいたアンケートの結果を使用した調査になっています。はじめに、どのような人が感想を書いているのかということについて質問させていただきました。今回その中の「プロ志向」かどうかという見方を使用して、「その他」以外の4種類の感想典型例を受け取ったときにどのような感じ取り方の違いがあるのかということを見てみました。
参考:「作曲でプロになりたい(現在プロとしてがんばっている)」かという質問 ■プロ志向低:「全くそう思っていない」31人/「あまりそう思っていない」39人 ■プロ志向高:「まあそう思っている」33人/「とてもそう思っている」24人 | <今回使用した感想の典型例> ◎どこがよかったかには触れていない、ただほめるのみの感想
1. |
A 2003/12/17
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ものすごくうまくて、雰囲気もかなり素敵で、すごい曲でした。 とてもいい感じに決まっていて、とにかくよい曲だなあと思いました。 本当にめちゃくちゃ良くて、好きです。美しすぎです。 | ◎具体的に曲のどこが良かったかをほめている感想
2. |
B 2003/12/17
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音量変化にメリハリがあり、曲の構成も非常にうまいですね。
音色選びも素晴らしく、ドラムとメロディが見事にマッチしています。 終盤の盛り上がるところ、ベースの動きが印象的で良かったです。 | ◎曲についての批判・アドバイスを行っている感想
3. |
C 2003/12/17
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高音がちょっとうるさく、もう少し低音が欲しかったです。 不協和音が目立つので、そこを直すともっと良くなると思います。 最後ぷつっと曲が終わってしまうので、長く伸ばした方がいいですよ。 | ◎曲を聴いて思い浮かんだイメージについて書いている感想
4. |
D 2003/12/17
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ストーリーを感じさせる曲だったなあと思います。 映画で使われていそうな曲で、場面のBGMにぴったりですね。 この曲を聞いていると、なんだか大自然の情景が思い浮かびました。 |
次に、これら4タイプの感想を受け取ったとき、タイプによって受け取り方にどのような違いがあるのか、「感情」についての面と「意欲」についての面とに分けて見ていきました。 <感情について>
![](kanso-kenkyu.files/clip_image2.gif) 感想をもらったときの嬉しさや気分など、受け取るときの感情面について見てみました。
質問項目 曲を投稿してよかった/曲を投稿しなければよかった もらった感想に満足だった/もらった感想に不満だった この感想をもらってうれしかった/この感想をもらってつらかった 自分を認められた気がした/自分を否定された気がした この感想を受け入れるのに抵抗はなかった/この感想を受け入れるのに抵抗があった | ◎全体的に見て 「具体的ほめ」と「イメージ」についての感想をもらったときが、 感情的にプラスになるという結果が出ました。 ◎プロ志向との関係 プロ志向の高い人の方が、プロ志向の低い人よりも、 「批判」を受け取ったときの感情がマイナスになりました。
<意欲について>
![](kanso-kenkyu.files/clip_image3.gif) 感想をもらったとき次回作にどう影響するか、意欲面について見てみました。
質問項目 次の曲を作るのに役に立つと思った/次の曲を作る役には立たないと思った 新しい曲を作りたくなった/もう曲を作りたくなくなった もっといい曲を目指したいと思った/曲の良し悪しなんてどうでもよくなった また感想をもらうため投稿したいと思った/もう感想はいらないので投稿したくないと思った | ◎全体的に見て 「具体的ほめ」と「批判」についての感想をもらったときに、 意欲が高まってくるという結果が出ました。 この2つの次に「イメージ」が意欲を高める効果を持ちます。 ◎プロ志向との関係 プロ志向の高い人の方が、「ほめるのみ」の感想をもらうと 意欲が高まるということが分かりました。
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4.まとめ曲のどこが良かったのかということを具体的に書いていくことによって、作曲者の喜びや嬉しさ、次の作品への作成意欲が高まってくるということが分かりました。 曲から思い浮かんだイメージを伝える感想は、曲を作った人の感情にプラスにはたらくということも判明しました。 また、批判やアドバイスを行うということは、感情面にはあまりいい影響を与えないものの、作曲者の意欲を高めていくのにはかなり効果的だということが分かりました。
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5.最後に・・・サクラ曲掲示板のみなさん、ご協力くださいまして、ありがとうございました!みなさんのご協力がなければ、この研究はそもそも成り立ちませんでした。結果を出すことができたのも、本当にみなさんのお陰です!! この研究だけでは不十分なところもたくさんありますので、ご意見、ご質問、ご要望などがございましたら是非こちらにご記入の上、送信ボタンを押してください。至らない点に関しましては、できるだけお応えしたいと思います。
2004.02.29 Copyright © 2004 The first laboratory of
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