ステップ


SAKURAのマニュアルを読んでいると時々出てくる
ステップという言葉。
これは一体なんでしょう。

ステップというとダンスのアレを思い出しますが、同じようで違うものです。



SAKURAでのステップは
音の長さを表しています。

しかし音楽では音の長さを○分音符と表すのが普通ですよね?
なぜ改めて別の表し方が必要なのでしょうか。

○分音符、というのはその言葉通り
一小節をいくつに分けた長さか、という表し方です。

この長さを図で表すと


こんな感じ。

要するに何分の1表記になってる訳です。

これだけだと長さが飛び飛びなので
付点を使った長さを加えると、


こんな感じでバリエーションが増やせます。
付点は長さを1.5倍にせよ、という表現です。


しかしこれらはあくまで人間が勝手に考えた長さ。
コンピュータやシンセから見ればなんの事やら解りません。

機械は
タイマーで動いているからですね。

人間はメトロノームなどでタイミングをとって演奏しますが、機械はタイマーの時間を見ながら命令を実行しています。

0.1秒経ったらこれ、0.2秒経ったらこれ、…というように一歩一歩進むようにして命令を実行・演奏するので、そこからステップという言葉が生まれたんじゃないでしょうか。(場合によっては
クロックティックなどという呼び方をする事も)



SAKURAでは

四分音符=96ステップ

としてカウントしています。
(設定を変える事も出来ますが、何も指定しないとこれになっています)

一小節は96×4=
384ステップという事ですね。

曲を作る時は○分音符と指定してしていますが、SAKURA内部ではステップへ変換されて渡されていますし、MIDIファイルへ書き出す時もステップが使われます。



普段はあまり使う事がないと思いますが、エフェクトのような特殊効果で○分音符では表現できない中途半端な長さを表現したい場合に便利です。

例えば4分音符よりちょっとだけ長くしたい…と思った時は
ド4+32
のように足し算や引き算を使って出来ない事はないですが、
ド%108
とステップで指定すれば、鳴らしてから「あれ?ちょっと違うな…」と思った時でも
ド%107
とか
ド%109
のように微妙な調整が可能です。

一小節が384ステップですから
1ステップ=384分音符の長さになります。
384分音符といえば聞き取れるか聞き取れないか微妙なところです。
(楽譜で一番短いものでも64分音符程度)

これならどんなに微妙な長さでも表現出来ますよね。


またとてつもなく長い長さを指定したい場合にも便利です。
例えば「10小節」などというとてつもない長さのものだと
ド1ー1ー1ー1ー1ー1ー1ー1ー1ー1
とまあこんな感じになってしまいますが、ステップだったら384×10なので
ド%3840
と指定するだけで済みます。




ピアノのタラララ〜ンというのを人間の演奏っぽくしたいなぁ…などという時も
ド16レ16ミ16ファ16ソ16ラ16シ16↑ド1
とカチカチのタイミングを
ド%24レ%24ミ%24ファ%24ソ%24ラ%24シ%24↑ド1
とまずステップへ置き換えて、%24(16分音符)を元に考え
ド%36レ%24ミ%20ファ%16ソ%20ラ%24シ%36↑ド1
などと段々速くなって遅くなって終わる、などという事も出来ます。

この後他のパートと演奏がずれてしまうとやだなぁ…などという時は、

加工前 16分(24ステップ)×7=168ステップ
加工後 全部で224ステップ
4ステップオーバー

のように計算して
ん−%4 ド%36レ%24ミ%20ファ%16ソ%20ラ%24シ%36↑ド1
マイナス休符であらかじめはみ出た時間を巻き戻しておけば最後のドを加工前と加工後で同じタイミングに鳴らす事も出来ます。このような事をしている内に、段々ステップという概念に慣れていくでしょう。