移調・転調

SAKURAでは、自動で長調(明るい)や短調(暗い)にする=転調、曲全体を半音単位で上げ下げする=移調、というような命令がついています。

長調なら指定無しでそのまま

ドレミファソラシ↑ド

とやるだけ。
短調なら

調♭(ミラシ)
ドレミファソラシ↑ド

とミ、ラ、シに♭(フラット)をつける事によって出来ます。
(途中で長調に戻す場合は 調♭() とするだけ)

曲全体を上げ下げ(移調)するには、例えば3半音下げたい時は半角で

Key(-3)
ドレミファソラシ↑ド

と書けば出来ます。
(プラス方向の場合は数字だけ書けばOK)



よって、例えばホ短調(Eマイナー)で作りたいな〜という場合には

1.ハニホヘトイロハのホだからミ
2.ミだからド、ド#、レ、レ#、ミ…と数えて+4半音
3.短調だからミ・ラ・シにフラット

と、考えて

Key(4)
調♭(ミラシ)
ドレミファソラシ↑ド

と、すればいい訳です。



ただしこの方法だと一般の楽典(=楽譜の読み書き)とは少し違う方法になってしまう為、楽譜などを見ながら打ち込む場合には使えません。

自分が作った曲を楽譜に直す場合なども同じです。

楽譜を見て打ち込む場合は、楽譜の#や♭をそのまま調#()や調♭()へ打ち込んでください。
(自作曲を楽譜にする場合は逆の手順です)


以下に一覧表などを。
全部で24種類あります。(イヤすぎ…)
シャープ・フラットの数は、左の図のCからの距離により変化
長調(メジャー)
実際の音程
#の位置 ト音記号時
楽譜の位置
短調(マイナー)
実際の音程
ハ長調(Cメジャー)
ドレミファソラシド
記号無し イ短調(Aマイナー)
ラシドレミファソラ
ト長調(Gメジャー)
ソラシドレミファソ
ファ ホ短調(Eマイナー)
ミファソラシドレミ
ニ長調(Dメジャー)
レミファソラシドレ
ファ、ド ロ短調(Bマイナー)
シドレミファソラシ
イ長調(Aメジャー)
ラシドレミファソラ
ファ、ド、ソ 嬰へ短調(F#マイナー)
ファソラシドレミファ
ホ長調(Eメジャー)
ミファソラシドレミ
ファ、ド、ソ、レ 嬰ハ短調(C#マイナー)
ドレミファソラシド
ロ長調(Bメジャー)
シドレミファソラシ
ファ、ド、ソ、レ、ラ 嬰ト短調(G#マイナー)
ソラシドレミファソ
嬰へ長調(F#メジャー)
ファソラシドレミファ
ファ、ド、ソ、レ、ラ、ミ 嬰ニ短調(D#マイナー)
レミファソラシドレ
嬰ハ長調(C#メジャー)
ドレミファソラシド
ファ、ド、ソ、レ、ラ、ミ、シ 嬰イ短調(A#マイナー)
ラシドレミファソラ

長調(メジャー)
実際の音程
♭の位置 ト音記号時
楽譜の位置
短調(マイナー)
実際の音程
へ長調(Fメジャー)
ファソラシドレミファ
ニ短調(Dマイナー)
レミファソラシドレ
変ロ長調(B♭メジャー)
シドレミファソラシ
シ、ミ ト短調(Gマイナー)
ソラシドレミファソ
変ホ長調(E♭メジャー)
ミファソラシドレミ
シ、ミ、ラ ハ短調(Cマイナー)
ドレミファソラシド
変イ長調(A♭メジャー)
ラシドレミファソラ
シ、ミ、ラ、レ へ短調(Fマイナー)
ファソラシドレミファ
変ニ長調(D♭メジャー)
レミファソラシド
シ、ミ、ラ、レ、ソ 変ロ短調(B♭マイナー)
シドレミファソラシ
変ト長調(G♭メジャー)
ソラシドレミファソ
シ、ミ、ラ、レ、ソ、ド 変ホ短調(E♭マイナー)
ミファソラシドレミ
変ハ長調(C♭メジャー)
ドレミファソラシド
シ、ミ、ラ、レ、ソ、ド、ファ 変イ短調(A♭マイナー)
ラシドレミファソラ


例えばA♭マイナーで打ち込みたい場合は、

調♭(シミラレソドファ)
ラシ↑ドレミファソラ

と打っていけばOKって事です。




さて、本題の転調・移調です。

転調・移調とは、曲の途中から長調・短調を切り替えたり、全体を半音単位で上げ下げする事をいいます。

前者のように楽譜とはなんら関係無しに打ち込んでいく場合は、

ドレミファソラシ↑ド↓
Key(3)
ドレミファソラシ↑ド

…と、変えたいところに書けばOKです。

同じ事を楽譜風にやる場合、まず#や♭の位置を調べてから

ドレミファソラシ↑ド↓
調♭(シミラ)
ミファソラシ↑ドレミ

と、調?()で指定したあと、実際の音程で書いていかなくてはなりません。楽譜などを見ながら打ち込む場合はむしろこちらの方が楽ですが、曲を作る時はいちいち調べながらフレーズを作っていくのって結構面倒です。

私なんかは普段、全然楽譜に合わせて作ってません。

ですから曲を作る時は楽なんですけど楽譜に直さなくてはいけないような時はいつも地獄を見ます…(でもやっぱり楽に曲作れた方がいいかな)

そこら辺は楽器経験者かそうでないかで分かれるところかとは思いますが、現状にあった方法を選んで使ってください。


 まめ知識

…というよりは
気をつけなくてはいけない事です。(笑)

この移調・転調コマンド、実はトラックをまたいで動作してしまいます。

例えば、


このような曲があったとします。
一見なんの問題もないように見えますが、これをそのまま鳴らすと…?

そのまま鳴らしてね

最初の方が不協和音になっちゃってるの、判りますか?

そう。
元々このコマンドは「曲の頭の方に書いて全体を変える」コマンドなので、トラックが変わっても初期化してくれないのです。

従って、


という事になります。

複雑な曲を作ってるとうっかりこのような状態になってしまって原因判らず…という事にもなりかねないので、


…としてあげましょう。







今度は曲を作る時の考え方についてです。



転調・移調というのは、どういう時に、どのようにすると効果的でしょう。

これは音楽家みんなが考えている「永遠のテーマ」だったりするのですが、実はそんなに難しく考えない方法もあります。

曲を聞いている人は、まず曲の始めの方で大体の音程をつかみます。

あんまりずっと同じ調でも飽きてしまいますから、耳が慣れてきたあたりで移調・転調して驚かしてあげるといいと思います。

曲にもよりますが、曲が始まってから大体4〜5小節聴いていると全体的にどんな音程を使っているのかというのがぼんやり判ってきますから、驚かすとしたらそれ以降ってところでしょう。



驚き具合にも色々あって、「…お?」という静かなものから「どっひ〜」という強いものまで様々。

転調というのは長調だったら短調に、短調だったら長調に…と、ひっくりかえすだけですが、これだけでも中々なものです。かなり強いほうかと思います。(調号が三つも変わりますからね)

もう少し微妙に調整したい場合は「近親調」へ移調する、という方法がお勧め。

先ほどの表が役に立つので、もう一回見てみましょう。


長調(メジャー)
実際の音程
#の位置 短調(マイナー)
実際の音程
ハ長調(Cメジャー)
ドレミファソラシド
記号無し イ短調(Aマイナー)
ラシドレミファソラ
ト長調(Gメジャー)
ソラシドレミファソ
ファ ホ短調(Eマイナー)
ミファソラシドレミ
ニ長調(Dメジャー)
レミファソラシドレ
ファ、ド ロ短調(Bマイナー)
シドレミファソラシ
イ長調(Aメジャー)
ラシドレミファソラ
ファ、ド、ソ 嬰へ短調(F#マイナー)
ファソラシドレミファ
ホ長調(Eメジャー)
ミファソラシドレミ
ファ、ド、ソ、レ 嬰ハ短調(C#マイナー)
ドレミファソラシド
ロ長調(Bメジャー)
シドレミファソラシ
ファ、ド、ソ、レ、ラ 嬰ト短調(G#マイナー)
ソラシドレミファソ
嬰へ長調(F#メジャー)
ファソラシドレミファ
ファ、ド、ソ、レ、ラ、ミ 嬰ニ短調(D#マイナー)
レミファソラシドレ
嬰ハ長調(C#メジャー)
ドレミファソラシド
ファ、ド、ソ、レ、ラ、ミ、シ 嬰イ短調(A#マイナー)
ラシドレミファソラ


記号無しから始まって、下へ行くごとに#が一個ずつ増えてますよね?

調号の数が違えば違うほど
おどろき度が増えますから、


Cメジャー → Gメジャー =#が1つ増える =微妙に変化
C#メジャー → F#メジャー =#が1つ減る =微妙に変化

Cメジャー → C#メジャー =#が7つ増える =ものすごく変化

F#メジャー → Aメジャー =#が3つ減る =まあまあ強く変化


という感じになるでしょうか。


Cメジャー、Gメジャー、Dメジャー、Aメジャー…と7半音上がるたびに#が一個増えます。

つまりKey(?)で表すと

Key(0)
Key(7)
Key(14)
Key(21)




のようになっていく訳です。
全体を7半音上げたり下げたりすると#が増えたり減ったりするって事ですね。


この一個増やしたり減らしたりする事が、
近親調への移調
要するに「親戚みたいなもの=似たもの」へ移調したって事ですね。

7半音は「五度圏」などとも呼ばれています。
(ド=1度、レ=2度、ミ=3度、ファ=4度、ソ=5度)


#や♭がいっぱい付けば付くほど音の感じが変わるわけですから、そこでおどろき度を調整出来る…という風に考えられています。

いきなり強力に驚かしたかったら、

Key(21)

とかにすればOKって事ですね。
(調号3つ分)

ただし、21半音も上げちゃったら音がキンキンになっちゃいますから、1オクターブ分くらい下げて

Key(9)

とかにしといた方がいいです。
(1オクターブは12半音ですから、12引いた訳ですね)

これでもまだ音が高い、という場合は更に12を引いて Key(-3) とかにするといいかもしれません。


逆に

Key(0)
Key(-7)
Key(-14)
Key(-21)

とかにしていくと、今度は♭が増えていきます。
(+5ずつで計算しても同じ結果になります)



…こういう方法は既に使い古されていて新鮮味が無いなぁ…なんていうオマセさんは、私がよく使っている
+3−3ずつずらしていく方法なんかもお勧めです。

同主調というものを利用した方法です。

Cメジャーの時、音程は「ドレミファソラシ↑ド」ですが、これをドからではなくラから数え始める、つまり「↓ラシ↑ドレミファソラ」と鳴らすと判ります。

…悲しい旋律になりませんでした?

メジャーには、3半音下の位置に必ずマイナーが居る(この場合はAマイナーですね)、という法則を利用しているのです。この位置関係を「同主調」と呼び、キーを3半音単位で上げたり下げたりする事によって耳の錯覚のようなものを誘うのです。



…とまあ理屈はどうでもいいですから、+3−3なんかも試してみてください。(笑)

音楽って、かなり数学的でしょ?